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地球深部探査船『ちきゅう』へ、10,000mにおよぶドリルパイプを供給

 

海底下7,000mという人類未踏の地球深部を調査し、地球構造や歴史の謎の解明に挑む、地球深部探査船『ちきゅう』。この世界最大の最新鋭科学掘削船には、計10,000mにもおよぶTenaisNKKTubesのドリルパイプが搭載されています。

地球深部探査船『ちきゅう』は、大規模な国際科学プロジェクト「統合国際深海掘削計画(IODP)」の中心的任務を担う、世界最大の科学掘削船です。深さ2,500mの深海底から、さらに海底下7,000mという人類史上未踏のマントル部まで掘削し、地球環境変動、地震発生メカニズム、生命誕生の謎などの解明に挑みます。世界で初めての試みとなるこの深海掘削に使用されるドリルパイプが、NKKTubesの「NK DSTJ(ダブルショルダー・ツールジョイント)付きドリルパイプ」です。

『ちきゅう』建造のプロジェクトプランがスタートしたのは、1996年のこと。当時、日本で唯一ドリルパイプを製造していた、NKKTubesの前身、日本鋼管(株)(現JFEスチール(株))に、『ちきゅう』への搭載を前提としたドリルパイプの製造が依頼されました。しかし、油田・ガス田等の掘削用ドリルパイプ製造では定評があったものの、つないだ全長が10,000mにもなるというドリルパイプの製造は、誰も経験したことのない未知の世界へのチャレンジです。それまでのドリルパイプでは強度が足りず、現製品を大きく凌ぐトルク耐久性(ねじり強度)、引張り強度を持つパイプおよびネジ(ツールジョイント)の開発が要求されました。

まず、新開発パイプの新しい材料成分を割り出すための研究が重ねられ、耐サワー(硫化水素腐食)性能を有しS150(耐力1034MPa)の強度をもつ成分決定までにおよそ2年を要しました。そして試作品を作り、実際の使用を想定した耐久試験が始まりました。人類未踏の深部掘削をめざすだけに、製品に求められる条件は非常に過酷なものでした。まず、「引張強度」。ドリルパイプにかかる加重は、計算上では約400トン。開発段階では機械による引張試験で500~600トンまで耐えることが実証されました。次に「トルク強度」。一般のドリルパイプは5~6トン-mのトルクに耐えれば十分ですが、新開発パイプは14トン-mという2倍以上のトルクへの耐久力が求められました。

さらに「疲労強度」。ドリルパイプは回転することにより地底を掘り進みます。『ちきゅう』による探査では百万回の回転が必要と予測されていたため、百万回転に耐えうる実証試験が課せられました。しかし、これほどの回転をテストできる疲労試験機は日本に存在せず、苦労して探した結果、ヒューストンの会社が持っていることがわかりました。そこでパイプを航空便でヒューストンまで運び、約2ケ月かけて実際に百万回転させて耐久性を確認したというのも、新パイプ開発のエピソードです。何もかもが初めての経験であり、これら耐久テストにも2年近い歳月がかかりました。

こうして完成した新開発のNK DSTJ付きドリルパイプは、1本が約10m。『ちきゅう』での掘削では約1,000本がつながれ、富士山の高さの3倍近くにもなる10,000mという長距離を結ぶことになります。その先端がめざすのは、地球深部に存在し、地球環境変動に重要な影響を与えていると言われる「マントル」。人類はいまだかつてマントルそのものを直接手にしたことはなく、このプロジェクトが成功すれば、史上初の快挙となります。



 
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